takuyo日記

小説に毒されています

恋愛というものから自分ほど縁遠い人間はいない気がするのに、だからこそ恋愛ができる、みたいな矛盾の中にいつもいる。生きることに向いていないからこそ生きているし、幸福という言葉に居心地の悪さを覚えるからこそ、幸福がどこかにある気がしている。それはおそらく、他人のつらさを代わってあげられないという今のこの感覚と地続きのものだろう。私は私でしかいられない。お前らしくいろだとか言われるまでもなく。世界は私の中に書き込まれているのか。世界のすべては私でしかないのか。あなたのつらさやあなたの幸福は、すべて私でしかないのか。おそらく半分は正解で、半分は間違っている。あなたのつらさは私ではない。だがあなたのつらさが、あなたとして私の中にやってくるとき、私は変われる。どこか遠くて近い場所にむけて、開かれるのだ。氷が溶けるみたいに。そして強い酒の味を少しだけ、やわらかくするみたいに。